市民の皆さまへ
子宮頸がん検診について
子宮頸がん検診の有効性
検診は特定の病気を早期に発見し、早期に治療することを目的としています。婦人科検診は、一般的に子宮頸がんを早期に発見する子宮頸がん検診を意味しています。子宮頸がんは婦人科がんの中では最も検診に適した疾患で、がん検診の有効性が証明されています。一方、子宮体がんと卵巣がんは検診の対象疾患として有効性が証明されていません。子宮頸がん検診の内容は、問診(症状やワクチン接種の有無など)、視診(腟鏡による子宮頸部の観察)、内診(子宮や卵巣の触診)、細胞診(子宮頸部からブラシなどで細胞を採取し、異常な細胞が出現していないかを顕微鏡で調べる検査)とHPV検査(ヒトパピローマウイルス検査:子宮頸がんの主な原因ウイルスで子宮頸部の細胞から行われるウイルス検査)です。

子宮頸がん検診
子宮頸がん検診は、20歳以上の女性が対象です。近年、“前がん病変(がんになる前の病変で子宮を温存して治療可能な時期)”の発見率を高められるHPV検査が導入されています。別の検診方法として、自己採取による細胞診検査がありますが、この方法は精度が低いため、医師による検体採取を行います。一方、自己採取によるHPV検査は有効性は認められたものの、HPV検査が陽性の場合に精密検査の受診までの管理体制が構築されておらず、検診としては採用するべきではないとされています。
HPV検査単独法
これまで市町村が行う子宮頸がん検診は、「20歳以上の女性を対象に、2年に1回細胞診を行うこと」が推奨されていました。その後、HPV検査の有効性が証明され、令和6年4月よりHPV検査単独法も子宮頸がん検診に追加されました。HPV検査単独法が行える要件は、指針に沿った子宮頸がん検診の実施や管理ができる自治体で、女性の対象年齢は30歳から60歳です。そのため要件を満たしていない自治体で行われる子宮がん検診の対象者や20歳代の女性は、従来通りに2年に1回の細胞診を受ける必要があります。HPV検査単独法のメリットは、HPV検査の陰性者の検診間隔が5年ごとになるため負担軽減が期待されています。一方でHPV検査が陽性の場合は、細胞診検査を行い、異常があれば速やかに医療機関を受診する必要があります。また細胞診に異常がない場合でも1年後のHPV検査が推奨されており、HPV検査単独法は検査の判定により検査時期や検査内容が異なるため、受診者に加えて自治体や検診機関も次回の受診機会を正確に把握しておく必要があります。
まとめ
婦人科検診の中で死亡率減少効果(検診を受けることにより死亡者が減る効果)が科学的に証明されているのは“子宮頸がん検診”のみです。この子宮頸がん検診は稀にその他の婦人科腫瘍(子宮体がんや卵巣がんなど)や婦人科疾患(カンジタ腟炎など)が偶発的に発見されることもあります。そのため症状がない場合でも定期的に子宮頸がん検診を受けることをお勧めします。一方で、不正出血や下腹部痛、腹部膨満感などの症状がある場合は、子宮体がんや卵巣がんなどの疾患が原因である可能性もあるため、すみやかに医療機関を受診してください。